ゲームで起業した人たちのインタビュー集 Gamers at Work

Gamers at Work: Stories Behind the Games People Play
	Morgan Ramsay Peter MolyneuxApress 2012-02-08 Sales Rank : 605915 See details at Amazon by G-Tools

しばらく前にGamers at work を読んだので紹介してみる。

Gamers at work は、USのゲーム関連会社の創始者にMorgan Ramsay氏がインタビューしたものをそのまま会話形式で掲載した本。
会話形式なので難しい言い回しなどはなく、普通の本とはちょっとちがうイメージの文章だ。
以前 Founders at Work を読んでおもしろかったので、読んでみることにしたもの。
(Founders at Work はいつの間にか日本語版が出ていて驚いた)
この本は翻訳されることはあるだろうか。

本書では17人にインタビューが行われているが、自分の興味のあるところだけを読んだ。
読んだ部分を紹介してみる。

Trip Hawkins は EA を立ち上げた人だ。レコード業界を参考にして、ゲームの販売に新風を吹き込んだ人らしい。ゲーム制作者をアーティストのように扱うというところがよかった。

Nolan Bushnell は Atari を立ち上げた人だ。Atari といえば Atari Shock を想起してしまうのであまりよい印象がないが、少ない資本で大成功したことは間違いないようだ。

John Smedley は EverQuest を作ったVerant Interactiveの創始者。後にSOEと合併している。
EverQuest は自分も一時期はまっていた思い出深いゲームだ。初のMMOということで、どのくらい売れるかは全くわからず開発していたとのことだけれども、その頃から一貫して、自分たちの作りたいもの、おもしろいと思えるものを作り続けているとのこと。
EverQuest にはまりすぎて自殺してしまった少年のお母さんと電話で話をしたり、ゲームに対する意見に1万通返信を返したり、熱いCEOだと感じた。
昨今の課金ビジネスやソーシャルゲームに対する意見なども聞けてとても興味深い。
家に帰ったら毎日4時間はゲームをやる。当然だ。みたいなことを答えていて爽快だった。(We are passionate gamers to begin with. I personally go home and game for four hours a night. That’s how I get my enjoyment.)

Christopher Weaver は Skyrimで有名な The Elder Scrollsシリーズを作ったBethesda Softworksの創始者だ。
1986年にBethesdaを立ち上げる前からいろいろと経歴を持っていて、切れ者という印象の人物だ。
成功を重ねながらも、決しておごらず常に非常に慎重な姿勢が浮き沈みの激しいゲーム業界で生き延びるのに役に立っているのだろうと感じた。
開発者を大事にする姿勢も感じられた。

Jason Rubin はクラッシュバンディクーやUnchartedを開発した Naughty Dog の創始者だ。中学生くらいで最初のゲームを作って売り込んだという根っからのゲーム開発者だ。
その頃からひたすらゲームを作り続けて、いくつかのゲームをヒットさせるも、本人は Uncharted 開発前に会社を出てしまったようだ。(彼はゲーム中でリアルタイムでレンダリングしているゲーム画面と、プリレンダリングのムービーをシームレスに切り替えて進行するゲームを作るのが夢だったそうだが、それは Uncharted ではじめて実現されたらしい)
開発力もあり、また大学中にいくつもビジネスを始めたりもしていて多方面に能力を持っている人のようだ。
Universal Interactive Studio と契約して場所を提供してもらってクラッシュバンディクーを開発したのはよかったが、その後Universalとの関係が悪化してしまい、エアコンを切られた状態で開発し、人間とマシンとどっちが先にだめになるか、というような過酷な状態に陥ったらしい。
生々しい話を知ることができておもしろかった。

Ted Price は ラチェットアンドクランクや Resistance を開発した Insomniac games の創始者だ。
元は地元で巡回式の医療のサポートを担当していたという変わった経歴の持ち主。その際にデータベース関係の知識を習得して、その後ゲーム関係の会社を立ち上げたらしい。
Universal Interactive Studios では Naughty Dog と隣で開発をしており、お互い情報を交換してゲーム開発を進めていたとのこと。しかしJak and Daxter や Rachet &Crank などタイトルが似ているゲームを作っているのは本当に偶然らしい。
最後にいいいことを言っていたので抜き出してみる。

First, remember that employees at your company aren’t working for you. You’re really working for them. It’s your job to make sure that everyone is happy, creatively challenged, well-informed, and being given honest feedback about how he or she is doing.

Second, you can’t abdicate setting the vision for your company. If you’re the leader, the one who has the responsibility of communicating and constantly reminding everyone of that vision. The vision itself does’t have to be your idea, but people will look to you for it. It’s also your job to make sure that the vision is shared and embraced by the entire team. Otherwise, it’s probably never going to pan out.

Finally, accept and embrace change. Nothing ever goes as planned in a creative endeavor. When you or anyone else holds too tightly to some preconceived notion of how things should be, it stifles innovation and halts progress. In my opinion, those companies who remain flexible, who embrace change, and who always push for innovation are the ones that change the world. I’m still trying to improve in all of the above.