オライリーのiPhoneゲーム開発本 iPhone Game Development (洋書)
このiPhone Game Developmentは話題になっていることをみたことがないし、日本のAmazonでもレビューが1件も登録されていない本。USではレビューで結構酷評されている本だ。
しかし、著者のPaul ZirkleとJoe Hogue の2人は Konami Digital Entertainment で5年間働き、40タイトル以上に携わったというたたき上げぽい経歴を持っている。初めてみたけど顔こわいなあ。
ちなみにこの本は紙だけでなく、KindleやiPhoneアプリ版などいろいろなフォーマットで提供されている。自分が最初に買ったのはKindle版だったが、読んでみたところ面白そうなのだがiPhoneで読むにはつらく、結局あきらめて紙の本を買い直してしまった。無駄に金をかけてしまった本である。今ならiPadがあるのでKindle版でももうちょっと読めるかも知れないが。
本書は、Objective-CでGame Frameworkを作り、Handle_Event, Update, Renderで構成される Game Loopを実現して2Dと3Dのゲームを作ろう、という本だ。ゲーム開発本には珍しく、全編Objective-Cで書かれている。サンプルとして紹介されているのはSafariで Tom Oreilly君が動物を狩る2Dのゲームと、ちょっとした3Dの宇宙船ゲーム。2Dの方でゲームのフレームワークを作り、それを利用して3Dのゲームの作り方の簡単な紹介をしている。ページ数は242ページなので内容的にはざっとObjective-Cでのゲームのフレームワーク作りを紹介するような本だ。
しかし他にそういう本に出会ったことがないので貴重な本ではある。ゲーム作りでは一般的と思われるゲームループをObjective-Cでどう実現するかが実際のコードとともに紹介されているので、自分のゲームの作りと比較してみると良いのではないだろうか。
Amazonで酷評されているのは、どうもダウンロードしたサンプルプログラムがまともに動かないためであるようで、たしかに試してみると、本の通りにやっても動かない。しかも、所々説明が足りていないこところがあり、自分で補完しながら進める必要がある。このため、明らかに、初心者向けではなく、しかもいわれたとおりにやってちゃんと動くことをのぞむ人にはひどく腹立たしい本でありそうだ。ただ、ありがたいことに有志による正誤表ができている。とは言っても、指摘があっても著者達が確認をしていないので Unconfirmed Errataの方にあるのだが。
とりあえず最初に引っかかると思われる、P69からの The Framework に関して試してみたので書いてみる。
- P72. コード中に gsTest と書かれているところがあるが、ここは gsTestは後から出てくるクラスなので、ここは gsMain が正しい
- P73. greyColor と書かれているが、grayColor が正しい
- P73. -(void) Render 中で描画を行っているが、正しくは -(void)drawRect:(CGRect)rect 内でやる必要がある。Render 中では、[self needsSetDisplay] のみを行う。これは、P76.の Frames per Second も同様になる
オライリー本はしっかりレビューされて品質が高いものと思っていたが、そんなことはないようだ。急いで書いて、 レビューを省いた印象がある。内容は悪くないと思うのでもったいない本ではある。
Amazon.co.jp
iPhone Game Development: Developing 2D and 3D Games in Objective-C | |
![]() |
Paul Zirkle Joe Hogue
Oreilly & Associates Inc 2009-11-16 |
Amazon.com
iPhone Game Development: Developing 2D & 3D games in Objective-C (Animal Guide) | |
![]() |
Paul Zirkle Joe Hogue
Average Review |
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