発売後しばらく売り切れ続出で買えなかった本。
スクリプトドクターとは、何らかの理由で行き詰まってしまった脚本家やプロデューサーなどを救済する職業で、裏方のさらに裏方の職業だと書かれている。 著者によると日本には7人ほどしか存在しないが、海外では昔から普通に存在する職業であるようだ。 著者は実際に自分がスクリプトドクターを必要とする境遇に置かれた際に、「日本にもスクリプトドクターを必要としている人がいるはずだ」と思い立ってスクリプトドクターをはじめたとのこと。
また、知り合いが脚本作りに煮詰まってしまい、命を絶ってしまったことや、自分が脚本家として苦労した際に、相談できる人が必要だと感じてはじめたという。
前半は脚本家に向けた話で、こちらは誰が読んでもとても面白い。「窓辺系」脚本家、「殻を破る」「逆バコ起こし」など、映画の見方が変わると思われる。 後半は実際のスクリプトドクター向けに書かれた内容で、スクリプトドクターを目指していない自分には前半の方が興味深い内容だったが、スクリプトドクターを目指す人にはすぐに役に立ちそうな内容だった。
もともとはスクリプトドクター向けの本を書いていたのだが、あまりにも大著になってしまったのと、脚本家向けだと対象がかなり限定されてしまうので、一部切り出して前半を加筆して、今回の本の構成になったらしい。
もしたくさん売れたのだとすると、残りの内容も発売されることになるのではないだろうか。
この本を読んだ後に Creativity Inc. by Ed Catmul クリエイティビティ・インクを読んだが、脚本作りの世界にもPixar方式は取り入れられないものだろうか。どちらのやり方にも良さがあると思われる。
