トレードオフ ケビン・メイニー著
なぜか序文を書いただけのジム・コリンズの名前の方が表示が大きいケビン・メイニーの本。
上質(Quality)をとるか、手軽(Convenience)をとるか、どちらかを選んで追求していかないといけない。両方を追い求めることは幻影(Mirage)を求めること。
そして上質は技術革新や世の中の流れによってどんどんハードルが上がっていくので、それ以上に変化させていかないといけない。
たとえ今乗りに乗っているAppleですら、iPhoneが多くの人に行き渡ってしまったらそれはもう上質ではなく、手軽な方にうつってしまう。
iPod が売れに売れていた頃、もしiPhoneが出ていなかったら今頃Appleはどうなっていただろうか。
というような実例をたくさん出して、著者の主張を裏付けていく本。
著者は20年以上記者をやっていた人らしく、実際に取材をした人の話がたくさん出てくる。
大量に実例が出てきて、著者の主張を信じるかはともかく読んでいて楽しい。
人間はついつい上質と手軽の両方を追い求めてしまうが、それは幻影であると言い切っているのも痛快。
なぜなら著者の定義では、
上質 = 経験 + オーラ + 個性
手軽 = 入手しやすさ + 安さ
なので、安くして大量に出回ってしまうとそれはもう手軽軸の方にうつってしまうから。
上質と手軽を追い求めてしまった商品やサービスとしてあげられているものたち
- 商品を安売りしたティファニー
- スターバックス
- Motorola RAZR
- マンハッタンに進出したウォルマート
その他、ゼネラルマジックとかテレデシックとかピープルエクスプレスとかおもしろい例がたくさん出てくる。
じゃあ、どうすれば成功できるの? という問いにはあまり答えてくれないけど、読んでいて楽しい本だった。
読み終わった後はしばらく、これは、上質? 手軽? と考えてしまうようになった。
トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか | |
ケビン・メイニー(著) ジム・コリンズ(序文) 内田和成(解説) 有賀裕子
プレジデント社 2010-07-06 |
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