iOS開発におけるパターンによるオートマティズム の感想
タイトルを見ていまいち内容が類推できなかったのもあり買うつもりはなかったのだが、fladdict のページ で気になり、書店で中身を眺めてぴーんと来たので思わず買ってしまった。
本書で言うところの「パターン」とは、短いソースコードの集合だ。
パターンを使うときは、コピー・ペーストし、アプリの仕様にあわせて改変しながら使うのが基本。
内容をキチンと理解したパターンを使って、半自動的にアプリを開発しようという話だった。
- パターンとは何か
- アプリ設計のパターン
- モデルのパターン
- メモリ管理のパターン
- ビューコントローラのパターン
- テーブルのパターン
- 通知のパターン
- ネットワークのパターン
- iPad への対応
の9章で構成されている。
本書の冒頭にも書かれているが、この本は何本かiPhoneアプリを作ってから読んだ方がいいと思う。
いろいろな本を参考にしたり、サンプルやチュートリアルを元に試行錯誤して自分なりにアプリを作ってみて、それからこの本を読むとスポンジが水を吸収するように理解できると思う。
自分も何本かアプリを作ってきて、かなりいろいろ試行錯誤してきたので、ここで取り上げられているパターンはほとんど自分なりに書いたことがあった。
その自分のコードを思い出しながら著者のコードを見るととても参考になる。実用的な例が取り上げられていると思う。6.4 表示更新のパターン もそうだし、7章の通知のパターンで紹介されている、デリゲート、キー値監視、NSNotification の3つの通知の方法も、自分もまさにこの順番で試行錯誤で使っていた。しかし試行錯誤する前にこの本を読めば試行錯誤せずに済むのか… それも良いかも知れない。
この本を読むと、確かに fladdict のページに書かれているように、Snippets — Code Snippet Manager for Mac OS X のような、コードスニペットに特化したアプリを使いたくなる。多少高いけど、便利そうだ。
それなりに値段の高い本なのでもうちょっと踏み込んだパターンのコードがあっても良かったのでは、と思う。8章の最後に、NSOperationやNSOperationQueueを使ったパターンもあってもよいだろうと書かれているが、まさにそのパターンも欲しかったりした。
HMDTのページ を見たところ、電子版としてiPhone/iPad 対応アプリもリリースされるらしい。自分はKindle版の方がMacでも閲覧できるのでうれしかったりするが、楽しみだ。
ところでひとつ、タイトルに関して。
「オートマティズム」という言葉を使ったのがいまいち理解できず。一般的な用語ではない気がするし、意味を調べてみても、本書が言いたいことは自動筆記などとは違うと思うので、内容とタイトルが合っていない気がした。
著者の真意を確認してみたいところ。
オートマティスム – Wikipedia
Automatism – Wikipedia, the free encyclopedia
iOS開発におけるパターンによるオートマティズム | |
木下 誠
ビー・エヌ・エヌ新社 2011-02-09 |
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