Creativity Inc. by Ed Catmul クリエイティビティ・インクを読んでみた

公開日: : English

Becoming Steve Jobs  を読んで、PixarのEd Catmul と John Lasseter に興味を持ったので読んでみた。(英単語学習アプリを開発しているのと、Catmulのそのものの言葉を知りたかったので、原書を読んでいる)

この本はCatmulによる主にPixarにおけるマネジメントの話ということで、映画作りというクリエイティブな仕事でマネジメントはどのように関わればよいのか、何かノウハウが得られるのではないかということで読み始めたのだが、想像以上の内容だった。

三宅隆太氏のスクリプトドクターの脚本教室を読んだり、バケモノの子の細田守氏の特集番組や宮崎駿氏の映画作りの様子をテレビで見ていて思ったが、日本の映画関係者はPixarの映画作りを参考にしてみてもの良いのではないか。

この前見た日野晃博(ゲームクリエイター): 情熱大陸での番組作りは Pixar と似ていた。

日本式と、Pixar式、どちらが良い、悪いというわけではなく、双方の作り方を参考にしてみても良いだろうと感じた。

日本の作り方は、属人的で、その人の思い入れがそのまま伝わる形だ。そのため、その人がいなくなるともう同様の映画は作れない。 Pixarの作り方は、もちろん脚本家の思い入れはあるのだが、毎日そこまでにできた映画の断片をもってきてみんなでみてわいわい意見したり(しかし個人批判はしない。ここはポイント)、その場でそのシーンに絵を描いて「こうしたらどうだろう?」とやったりする。

その様子は、NHKの番組からも知ることができた。 世界初!NHK“アナ雪”を生み出した「ディズニーアニメスタジオ」の裏側に密着!11月24日放送 – News Lounge(ニュースラウンジ)

この番組はラセター氏を追っているが、ラセター氏は宮崎駿氏の大ファンで、上記のページによると「1年がかりでの粘り強い交渉が始まり、宮崎監督のドキュメンタリー番組の映像を送付。同氏から「こういう番組ならOK」と、ようやく撮影許可を得た」らしい。

本の感想に戻ると、全体的に、ものづくりをしている会社なら誰でも参考になる内容だと感じた。

また、どれもPixarの映画作りをとおして培われた方法なのでそれにまつわるエピソードが、読んでいてどれも楽しい。

作者とラセターがあこがれた Disney がヒット作を作れなくなり、Pixar と統合されて2人が Disney の映画作りのトップに据えられる話や、candor (正直さ) をもとに硬直した Disney を立て直していく話には興奮させられた。

創業者を失うとディズニーですら硬直化してしまうのなら、他の多くの会社が同様の道を歩むのも不思議でない気がする。

この本を読むと、順風満帆に見えるPixarも、毎回産みの苦しみを味わっているのがよくわかる。

Pixarの数々の名作がどのようにして作られてきたか、そして何度も苦境に陥りいかにして面白い映画を出し続けてきたかを知ることができる。

変化は敵ではなく歓迎すべきものである。randomness は creativity の源である、などまわりに読ませて意見を聞きたい内容が多かった。

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